奈良県吉野郡大淀町佐名伝・薬水 大淀町果樹組合の活動と歴史・ルーツの紹介


              

大淀町果樹組合/奈良県吉野郡・大淀町佐名伝-大阿太高原の梨の栽培・品種・歴史と活動の報告

















 



 

1.大阿太高原の概要
(1)大淀町の沿革
 大阿太高原のある大淀町は奈良県のほぼ中央部にあり、紀伊山地の3文の2を占める吉野郡
の玄関口に位置している。
 東には三重県との県境にある大台ケ原を含む山系が南北に連なり、南にも桜や杉の美林で
有名な吉野・大峰山系が南北に連なっている。
 我が国において最多雨の地域である大台ケ原の降水は大淀町の南にある吉野川を東から
西へ流れ、和歌山県に入って紀ノ川となり紀伊水道へと注いでいる。この河川の働きが
河岸段丘を産み、大阿太高原もその影響を受けていると考えられ、果樹園にも丸い小石が
・東経 135度47分 
・北経  34度23分
・東西  11.01Km
・南北  4.7km
・面積  38.06平方km
・海抜  132.8〜610.5m
・人口  20.768人
     (2005.1.31現在)
多く見受けられる。
 大阿太高原は吉野山系の北端で、標高150〜250mの暖傾斜の丘陵地帯であり、竜門山系の
西部に位置している。この高原に登ると西には金剛、葛城の山々が東には竜門岳、高見山が、
そして南には大峰山系を望むことができる。この地域は明治のはじめ、20ヶ村があり、明治
21年町村制施工のときに大淀村として成立した。「大淀」の名は万葉集巻7の雑歌にある次の
和歌に由来したと考えられる。
      今しきは見めやと念ひしみ芳野の
                    大川淀を今は見つるかも

 廿世紀梨梨は明治中期、大阿太高原で栽培が始められ、今では全国的特産物として広く
知られている。
 4月に咲く淡白は花は、清純・純潔の象徴ともされ、町の花に指定されている。また、町の
木はブナ科のアラカシで、古代から吉野川の清流斜面に繁り、万葉の時代から親しまれ
てきた。樹勢が旺盛で、ゆるぎない躍進を象徴するものとして大淀町にふさわしい木である。
(2)気候条件
 気候は年平均気温14.5度、年間降水量1,371mmで、その大部分は梨の生育期間に降る。
紀伊半島の内陸に位置することから比較的昼夜温度差が大きく、果物の栽培に適した
気候条件である。
(3)土壌条件
 大阿太高原果樹園の土壌条件は強粘土質でれき層や岩盤を含まない細粒褐色森林土
「最上統」と、壌〜砂質でれき層を含んだれき質褐色森林土「五社統」がある。
次の図表は奈良県が行った地力保全基本調査の結果である。生産力特性の等級は@が
最も優れていて、耕作に適しており、Cが耕作に不適で改善が容易ではなく、グラフが上に
偏っているほど土壌条件が良いことになる。「最上統」は、やや傾斜地に分布しているが、
大きな欠点がなく農業に適した土壌条件である。また、「五社統」は比較的傾斜が緩やかで
有効土層がやや浅い他は耕作に適した土壌条件といえる。いずれの土壌も湛水透水性が
優れていて、排水がよく、食味の良い梨の生産に適した土質である。有機物の
施用や深耕をすればさらに良い条件になる。